スイスに住んでいるフランス人とスイスに住んでいない在日韓国人がスイスで婚姻届を提出する

私事になるが23年10月26日にスイス在住のフランス人とともに婚姻届を提出した。スイスにて。 

 

ちなみに私は在日韓国人で、両親どちらも韓国人なのでパスポートも韓国のもののみ所持している。日本では特別永住者明証というものを持っているので、選挙権以外は日本人と同じように日本で生活できる。 

6月に初めてスイスの地を踏むまでは基本的に韓国に住んでいたので、婚姻届の手続きはすべて韓国で行った。このときは韓国語ができたこと、韓国に住んでいたことに大変感謝した。 

  

なので私の踏んだ手順は今現在日本で住んでいる在日韓国人にとっては参考にならないかもしれないが、どこかで誰かがなんとなくここに書いたことを参考にしてもらえたらと思う。もちろんただ読んで、楽しんでくださるのも全然ありだ。こんなこともできるんだな〜的な。 

  

  

まず結婚しようと決めた私たちが踏んだ手順としては、 

  

1.私側の書類を準備 

2.準備した書類を持って在ソウルスイス大使館に行く(要予約) 

3.相方の住んでいる地域の役所に私の提出した書類(翻訳済)が届く 

4.相方が書類を準備 

5.結婚準備ビザ取得 

6.役所での結婚式の日程を決める 

7.当日

  

こんな感じである。 

ちなみに6月15日にスイス大使館に書類を提出してから、10月26日に婚姻届を提出したので、およそ四ヶ月と10日間ほどかかったことになる。 

  

  

  

1.私側の書類を準備 

  

これは簡単だった。すべて自宅で行えた。 

韓国の住民登録番号を所持しており(通常日本で生まれた在日韓国人には割り当てられない(人によると思うが))、自分名義の韓国の携帯番号もあったので、パソコンから本人認証を行い行政のホームページで書類をダウンロードした。 

  

・出生証明書(Birth certificate with Apostille) 

・婚姻関係証明書(Proof of your civil status with Apostille) 

・住民登録謄本(Proof of residence with Apostile) 

  

そして現金500,000ウォンとパスポート。 

初めて在韓スイスホームページを見たときにとても高くて驚いたけど翻訳とか、役所への発送とか全部やってくれるので…まあ…という流れで無理やり自分を納得させた。ちなみに今は700,000ウォンに上がってた。ギリギリだったな…(得した感) 

  

ちなみに韓国の住民登録番号と電話番号を持っていると書類を自宅のパソコンでダウンロードできるだけではなくアポスティーユも一緒にダウンロードできる。便利すぎ。ありがとう。ちなみに土日は書類のダウンロード自体ができない。 

もしパソコンで書類がダウンロードできなくても住民登録証があったら市役所や区役所(全国どこでも)などで24時間無料で上記三つの書類は出力できるし、外交センター(ソウル)のなかにある領事民員室に行って申請したら該当書類のアポスティーユを即日交付してもらえるらしい。料金は一通1,000ウォンみたい(自分は実際に行っていないため曖昧な情報で失礼します) 

  

  

  

2.準備した書類を持って在ソウルスイス大使館に行く(要予約) 

  

実は色々と分からなくて書類準備の前にスイス大使館に3回くらい確認の電話をかけた。ウザいな〜と思われたかもしれないけど、分からないことは明確にしておきたいので…。スイスに在住しているフランス人と韓国人がスイスで婚姻届を出せるかどうかの質問に「可能です」と返されてもなお、疑っている部分もあった。 

  

とにかく書類を準備したので、スイス大使館に電話をして予約を取ってもらった。電話した日から約二週間後の6月15日にということになった。 

書類は婚姻届提出の6ヶ月前まで有効と言われたので念の為、スイス大使館に行く直前にもう一回全部出力しておいた。文明の利器ありがとう。それから、自分のパスポート原本とコピー、そして相方のパスポート、スイスのIDカードのコピーもそれぞれ持参した。 

  

午後2時の予約だったけど早めに出て(田舎在住だったので)、昼食を済ませてスイス大使館の近場のカフェで待機していた。2時5分前に行ってインターフォンを押すと、受付の人が出てくれて中に入ることができた。

 

* 出典 https://www.chosun.com/site/data/html_dir/2019/05/17/2019051701239.html

重厚な外見のスイス大使館だが、室内の床はグレーのカーペットが敷かれていたり、木製の家具が置いてあったりして、落ち着いた雰囲気でとても素敵だった。 

  

どうやら午後は予約した人だけを受け付けているみたいで、私の他にもう1組しかいなかった。 

私ももう一組の人たちも結婚準備のための書類を提出するために黙々と1、2時間くらい申請書と向き合っていた。また、書類作成の際に自分の母親と父親の名前を英語表で記入しなければならない。こちらも予め両親にお願いしてパスポートの写真を送って貰っていた。韓国人の名前の英語表記はいつでもトリッキーなので。 

  

いざ書き終わって提出!あとはお金を払えば良いのか〜と窓口に行ったところで受付の人に「結婚準備ビザは取らないのですか?」と聞かれたので結婚準備の書類を提出すれば自動的にビザをもらえると思っていた私は「取ります」と反射的に答えた。そこからビザのための申請書を渡された。5枚綴りの申請書を3部。そして追加で50,000ウォンと申請書に貼る写真も必要と言われた。お金は余分に持っていたので問題なったが、写真は撮っていなかったので焦っていたら「近くに写真屋さんありますから」と教えてもらって、書類を書き終えてから撮りに行った。暑い日だったので汗でデロデロハゲハゲになった眉毛を写真屋の主人が修正してくれた。ありがとう。 

  

2時からなんだかんだ5時近くまでいた気がするが、スイス大使の前でサインもしたし、書類もこれで大丈夫ですよと受付の人に言ってもらえたのでホッとして大使館を出てきて、スタバに駆け込んだ。その日に飲んだピスタチオアボカドチョコレートフラペチーノはわりと不味かったけど、今となっては思い出の味だ。 

フラペチーノゆっくり楽しみながら、申請書類に同性婚に関する項目もあったな、などと思い返したりしていた(スイスでは現在同性婚が可能)

 

 

  

3.相方の住んでいる地域の役所に私の提出した書類(翻訳済)が届く 

  

さてさて実はスイス大使館に行ったその10日後、私はスイスに入国した。観光客として。入国する際に入国審査所の人に「ホンマに?」と疑いの目を向けられたが、普通に入れた。荷物を受け取ったあと、税関どこかな?と探したものの税関など見当たらずそのまま他の旅行客に付いて行って出口で相方と再会した。自宅に行くまでの間に25kgの超ヘビーなスーツケースを持って列車の乗り降りしてくれたことに深く感謝。 

  

  

6月26日にスイス入りしたのだけど、その時点で最低気温は12、13度前後。わりと寒かった。 

  

そしてその次の週に相方が管轄の役所にメール(!)してみると、私の書類が無事に届いていることが分かった。 

メールの内容には私側の書類はすべて合っているので、今度はあなたの書類の準備をしてくださいと書いてあったとのこと。 

また、インタビューがあるので準備をしてください、とも。インタビュー…?一体何語で…?と意気消沈していたところを相方が慰めてくれた。分からなかったらもう一回聞けば良いんだよ、と。それができたら苦労しないんだよ? 

  

ちなみに、スイスで婚姻届を提出しようと思ったらスイス人同士でも自分が住んでいる地域の役所でまず「この人と結婚します」と申請しなければいけないらしい。面倒だな…?(私の場合はスイス大使館にて行ったのがそれに該当する) 

  

  

  

4.相方が書類を準備 

  

正直、ここが一番時間がかかったと思う。 

何故なら相方は平日フルタイムで仕事をしているからだ。相方もスイスでは外国人なので、 

  

・出生証明書 

独身証明書 

  

を提出するように求められていた。 

自身の生まれた地区を管轄する役所にメール(!)して、その両方を送ってもらっていた。「本人確認いらないんだ?」と申請した本人が一番驚いていた。せやな。 

その他にも、 

  

・いま働いている会社との雇用契約書 

・賃貸なら家主との契約書 

  

なども提出するように求められていた。 

その後の追加書類で家主が私も住んで良いと承諾したという確認書類も提出しろと再度求められたものの、サマーバケーションのためドバイに行ってしまった家主となかなか会えず、書類を提出できず…一ヶ月くらいはその一つの書類のために待っていた期間があった。 

  

その間にも週末などは色んなところに行ったりした。どこに行っても山登りをしなければいけなかったけれど、どこに行っても夏のスイスの山は絶景で素晴らしかった。これは本当。


  

  

5.結婚準備ビザ取得 

  

なんだかんだ時間があっという間に過ぎて9月になった。この時点で私もさすがに焦りの頂点に達していて、一度韓国に帰らなければならないのか?とヤキモキしていた。というのも、区役所と移民局(ビザはこちらから出る)からそれぞれ「結婚のためにはビザがいる」(区役所)、「ビザのためには結婚の手続きが進められているかどうかの証明が必要」(移民局)を求めてきていたからだ。最終的に板挟みになって苦しんでいる相方が区役所の担当と移民局の担当にメールを送り、お互いにコンタクトを取ってもらうようにしたら、そこはすんなり解決した。しかし、移民局の人にビザが出るまでに最短2週間はかかりますと言われたので、やはりひとりで勝手に焦っていたら、相方が移民局に交渉してくれて、早めに受け取れることになった。この時点で9月13日辺りだった。観光ビザは90日なので滞在ギリギリだった。計画性がない私のせいで苦労をかけてしまったな…へへ…(反省して) 

  

1週間後くらいに「10月3日に予約とったので移民局に来るように」(もちろん変更可)と移民局から手紙が届く。その間にビザ取得代135CHFとファイヤファイター(えー)へ40CHFを支払いをお願いしますと請求書が来たので払った。多分ファイヤファイターにお金を払わなかったら火事のときに助けてもらえないんですかね。そんなバカな(よく分かってない) 

  

そのあと10月3日に移民局で写真を撮り、指紋を採り、その一週間後にIDカードを貰った。その際にも139CHFを支払った。あとどれだけ払ったらいいんですか…?(震え) 

  

スイス大使館の人には、もしも結婚準備ビザを受け取る前にスイスに入ったら他の国のスイス大使館でビザをもらわないといけないと説明されたけど、移民局の人には「行く必要ない」と言われて終わった。どうなっているんだ。多分大抵の人は結婚準備ビザを取得してからスイスに入るからそんなこと悩まないんだよねきっと…………計画性とは。 

  

  

  

6.役所での結婚式の日程を決める 

  

じゃあ書類も揃ったし、ビザも取得したのであとは結婚式の日取りを決めることになった(結婚式をしないと婚姻届も受理されないんだもんな)具体的になってきた。役所の人の前でなぜ愛を誓わなければならないのか謎だなと思いつつ(キリスト教圏ではよくあることのよう)、役所側から提示された日付のうちひとつを選んだ。 

  

そして、 

  

・証人2人(18歳以上であれば誰でもOK) 

・通訳 

  

を選んでくださいと言われた。通訳は私のための通訳だ。なぜなら結婚式はドイツ語で行われるから。しかも通訳は、なにかしらの資格を持った人でないといけないと言われて、最後の最後でまた山が来たな〜と焦りながらも、相方が役所の人から提案された通訳事務所3、4社に連絡してくれた。その間に私は風邪で倒れ、生理で貧血になり、真菌症による肌荒れで痒みに苦しんでいた。今じゃないんだが。 

  

結果的にスイスで公式的に活動されている独日通訳の方が来てくれることになり、証人も無事にお願いでき(相方の弟と友人)、それから相方の家族もフランスからわざわざ来てくれた。 

  

 

 

7.当日

 

最後までどうなるか分からなくてソワソワしてたけど、当日の朝起きて風呂に入って化粧をして9時前に役所の前に到着した。雨が降っていて、辺りは暗かったけど早めに来て待機してくれていた通訳の方と役所の担当と一緒に書類の最終確認をした。 

その際に、スイスの法律では姓を変えることができるがどうするか?と聞かれたが、変えないことにした。なぜなら諸々の手続きが面倒くさくなるからだ。パスポートと名前の一致しないクレジットカード(日本では韓国人は通名で口座やクレジット、デビットカードを作れる)のおかげで海外旅行の際に苦労したことがあるし。 

他にも同性婚でも異性婚でも結婚歴があるかないかなどの確認などもあった。 

  

書類の確認後、役所側に435CHFの支払いをして11時ごろから結婚式が始まる。誓いの言葉を聞いて、書類にサインをして、指輪の交換をして、キスをして終わりだ。退室する前に結婚証明書2通と家族証明書を役所の人がくれた。

 


やったー!終わりだー! 

  

皆んなでハグしたりし合いながら、プロ写真家に写真をバシャバシャ撮ってもらったあと、昼食をとって、近くの美術館に行って、ディナー(相方の友人知人も来る)のために自宅に戻って一休みすることになった。ふう〜。やったね〜。良かったね〜。6月時点では完全に信じてなかったけど…ん? 

  

あれ?インタビューは?? 

  

  

私たちが外国人同士だからなのか、結局インタビューは行われなかった。7月の時点では、役所の人はあるって言ってたのにな…?それに色んなブログを見たりしてもインタビューはあったと皆んな言ってるし、交際期間とか写真とかやり取りしたメールとかお互いの国を行き来した航空チケットを見せろとか色々言われたりしたと書いてあったのにな…??まあ何にせよスイスにおける婚姻届は無事に受理されたのであった。インタビューなしで。 

  

レストランのディナーで出たメインのローストポークがなかなかにパッサパサで悲しかったが、それ以外は良い時間を過ごせた。

 


  

ちなみに通訳の方(初対面)に「あなた方は顔が似ていますね。同じ方向を見ている気がします」と言わたのがとても印象深かった。そんなことを言われたのははじめてだったので。 

 

  

おしまい 

ここまでご覧いただきありがとうございました!